ボイストレーニングOnline

1. 一番大切なことは力を抜くこと!


今回は “ 力をぬく ” ということをテーマにお話させてください。

“ 力をぬく ” というのは、肉体的に、精神的にと色々な意味がありますが、KosmosFlowerのホームページの Introductionにも書かせていただいたとおり、基本は「肉体からアプローチする」です。

精神というのは非常に見えにくく、捉えにくいものですが、それを見えやすい形にしたものが肉体です。 エネルギー量が高いから形として見えるものになるわけです。肉体と精神は全く同じものですから、肉体からアプローチしてください。 少し考えてみても、精神的に力を抜こうとするよりも、肉体の力を抜こうとする方がアプローチしやすいですよね。

みなさん、いい声を出そうとするとやたら力を入れて声を出したりしますが、それは全くの逆効果です。 力を入れると単調な声しかでなくなり、繊細な、細やかな表現ができなくなり、本当に自分がしたいと思う表現が出来なくなります。それから、力でやる最大の欠点と言うのは長続きしないということです。 長時間のコンサートや舞台に耐えることができないというだけでなく、若いうちしか声が持ちません。今、人間は80過ぎまで生きる時代ですよね。人は年々成長していき、年を重ねるごとに深い表現を欲していきます。そのころには声が出なくなっていたなんて悲惨すぎますよね。

強い力、声量のある声というのは単純に力を入れることによって出るものではありません。 それは野球で球を投げることを考えてみたら分かりますよね。 速い球を投げるときに体が力んで速い球を投げようとしても投げられません。よくトレーニングされた肉体を持ち、その肉体の力を抜き、しなやかに、大きく使ったときに速い球が投げられます。

メージャーリーガーのイチロー選手がバックホーム(ホームベースまで球を投げること)するときに一番気をつけておくことは、捕球するまでに全身の、関節一つ一つの力を抜いておくことだと言っていました。 歌が肉体を使う、いわば筋肉運動である以上、全く同じことが言えます。もちろん、舞台発声、役者やキャスター、声優の声なども同じです。一番大切なことは、常に全身の余分な力を抜いてリラックスしておくことです。そして、歌うとき、演じるとき、練習するときに「心地よく、楽しく」するように心がけてください。このことはまた後のメールマガジンで触れていきますが、とても大切なことです。

人間は「心地いい」という状態でやったことは体に定着していきます。「辛い」と思ってやることは体に定着しにくく出来ています。これは人間の生命維持機能の一つです。普段の生活でも、力を抜くことや、ストレッチなどをして肉体をしなやかにしておくことを心がけてください。

「良い表現はしなやかな肉体から」です。

人間は肉体を持って生まれてきています。表現や芸術というと、ややもすると肉体のことを忘れがちですが、人間にとって肉体とはもっとも大切なものです。肉体がなければ生きていけないのですから。

普段の生活を省みてみると結構余分な力というのは入っているもので、電車を待っているとき、ボーっとしているとき、一生懸命本を読んでいるとき、などなど。少し気をつけてみてください。 そういった日常の一つ一つの力を抜いていくことが、いい表現に必ずつながっていきます。そして、もっともっと自分らしく生き、表現していけるようになっていくはずです。

その逆のことをしてしまうと、「力み」はやがて体に凝りをつくり、体の循環が悪くなります。肉体は精神と同じものですから、体の循環が悪くなるということは思考も悪循環を起こし、マイナス思考になったり、もちろん良い表現はできません。声も出にくくなり、出にくくなると力で何とか出そうとして、こちらも悪循環に陥ります。

ですので、みなさん、表現をする上でまず一番心がけること、それは「力を抜く」ことです。力を抜き、しなやかに全身を使い声を出す、表現する。そして、心地よく、楽しく行ってみてください。 それは長期的に必ず素晴らしい方向に進みます。今回お話したこと、一見地味かもしれませんが、とても大切なことです。ぜひ実行してみてくださいね。


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