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3. 真実を深く届ける俳優のための発声法

先日映画館でラストサムライを観させていただきました。渡辺謙さんの素晴らしい演技と活躍はみなさんご存知の通りですが、僕がヴォイストレーナーとしての見地からもっとも気になったのはトム・クルーズの声でした。
今回は “ 真実を深く届ける俳優のための発声法 ” “ 日常会話で歌が上手くなる??? ” というテーマでお話させていただきます。

映画の中で、渡辺謙さんや真田広之さんの演技をみれば、日本人がアメリカ人や西洋人の俳優に全く引けを取ることがないのは皆さんもお分かりになると思います。それどころか、日本人という民族は元々空間の中に存在するという感覚がとても強い民族なんだなと再認識させられたとてもいい機会でした。

しかし、今回の映画を含め、現代の日本の俳優の方々は一部の素晴らしい方を除いて、少々声をおろそかにしすぎている印象があります。映画の中でも一部の方を除いて声という面では決定的に劣っていたと思います。 アメリカやヨーロッパの西洋文化圏では役者の声を大変重要視しています。ニューヨーク・アクターズ・スタジオでのメソッドなどはあまりに有名ですが、そのアクターズ・スタジオ出身のロバート・デ・ニーロやアル・パチーノは素晴らしい声の持ち主です。 「セント・オブ・ウーマン」での最後の演説シーンなどはアル・パチーノのあの声なしには考えられなかったことでしょう。アル・パチーノはこの映画でアカデミー賞主演男優賞を獲得しますが、あの声でアカデミー賞を獲得したと言っても過言ではないかもしれませんね。

元来、日本でも歌舞伎や能に代表される伝統芸能は声に大変重きを置いていて、役者の声は常にうるさい観客の批評の対象でした。今でも、歌舞伎や能を観に行くと役者の方々の素晴らしい声に圧倒されます。

さて、ここにおもしろい数値がありますので、参考までにご紹介しましょう。アメリカの心理学者でアルバート・メラビンという人がいます。彼の論理によると、話者が聴衆に与えるインパクトには、3つの要素がありVisual、Vocal、Verbal  に分かれるらしいです。そして、そのパーセンテージはなんと下記の通りなのです。
・ 55%=Visual  ( 視覚情報 : 見た目・表情・しぐさ・視線 )
・ 38%=Vocal  ( 聴覚情報 : 声の質・速さ・大きさ・口調 )
・ 7%=Verbal  ( 言語情報 : 言葉そのものの意味 )
いかがですか?これは、僕にとっても驚きの数値でした。何を話しているかという言語情報はたった7%しか影響がなく、どのような声で話すかというのは約4割も影響しているんですね。これは数値ですからあくまで参考までですが、それにしても僕達にとっては大変参考になる数値ですね。

みなさん、ここで少し考えてみてください。僕達は日常では無意識で見事に声をコントロールしています。 例えばもっとも大切なことを話すときは声を少し落として深い声でゆっくりと話しますし、楽しいときは自然とスピードも速くなり声も高くなりますね。驚いたときは声が裏返ったりもします。あまりいい言葉ではありませんが『声色を変える』なんていう言葉もありますね。 けれども、怒っているのにお腹の底から声を張り上げられなかったり、ライブに行って感動した時に高い声で叫べなくて隣の人のステージまで届く声がうらやましかったり、オカマ声をまねしようと思ってるのにうまく声が裏返らなかったり。。。(笑)    という経験はありませんか?それが声のテクニックです。

今回のお話はまだ次へと続きます。
楽しみにしていてくださいね。

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